31-35
031
アイツの涙が落ちるのが判った
全て忘れたくなる
声
笑顔
アイツが聴いていた歌さえも
それでも僕らは歩き続ける
この道の歩き方をまだ覚えているから
【明日会えない、明後日も】
032
右腕を喰われたの
彼に、いや彼についている口に
だけど私は怒りもせずに笑ったまま土にかえった
【彼とおなじ匂いがするうちに】
033
壊れかけの人を見つけた
だけど皆はその人のことを「スバラシイ」と笑った
羨ましくて追いかけてみようと思ったら
みんなが腕を引っ張ってきた
【ずれ】
みんな、同じだった人が変わるのを嫌う
034
少女は、我を握り離さない。
少女は、我が唄を奏でるたびリズムに酔いしれ歌いだす
少女は、それが終わると我に色々な話をする
少女は、笑い泣き怒り叫び、時には思ってもない事を口にする
少女は、我に洗脳されているという
けれど我は、少女に従っているだけなのだ
【我、携帯爆弾。】
35
「アタシは彼が好きだから」
アタシは初めて君に残酷な嘘をついた。「君以外愛せない」と伝えたこの唇で、
蛇口に触れることすら無かった涙腺から溢れだす涙で、
心中では
彼など知らぬ架空の人物
【朝か夜か判らないけどアタシ達は絶望していた】